苦労の結果

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「若い時の苦労は買ってでもしろ」と昔から言います。人は本当に苦労をした方がいいのでしょうか。苦労することなく充実した人生を送れるなら、私は苦労を買ってまでしたくありません。

 多くの経営者とお付き合いして分かったことは、当たり前ですが、どこかのタイミングで苦労(努力)をしなければ成功はないということです。そして、その苦労のタイミングは早ければ早いほどいいのです。いったん流れに乗れたら苦労は減ります。

 起業後の苦労はもちろんですが、起業前や学生時代の苦労も起業後の成功に繫がっています。しょぼいサラリーマン人生を送っていた人が、脱サラして大成功したケースを私は知りません。

 苦労したら、誰もが良い結果を出せるといいのですが、残念なことに、頑張った人が必ずうまくいくとは限りません。

 苦労は、本人の弱さや甘さを取り除いて一応しっかりした人間にしてくれます。しかしその結果は、苦労したために他人に対して柔らかな思いやりのある人柄になる人と、反対に苦労したことによって、思いやりがさっぱりなくなる人の2タイプに分かれます。苦労までしたのに報われない意地悪な人間になるのは嫌ですね。その分かれ道はどこにあるのでしょうか。

 森信三先生は、自らを内省し自分の正しい姿を求めるか否かだと言います。そのためには平素から人間の道というものについて深く考え、教えを受けておかなければならず、苦労してから道に出会っても手遅れなのだそうです。同じく苦労しても思いやりのある人と冷たい人といった、まったく正反対の人間ができてしまうのですから怖くなります。

 道……難しいテーマですが、ハーバード大学では3番目に人気のある講義が東洋哲学の論語を扱った『The Path(道)』だそうです。

 大石会計では、その『道』について学ぶ論語教室を毎月第一月曜日に安岡定子先生をお招きして開催しております。現在、新型コロナの影響で休講中ですが、手遅れにならないうちに再開したいと願っています。