農業の経験

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「若い頃に農業の経験をした人は、出世率が高い」と、誰が言ったか忘れましたがずい分前に聞きました。

 私は山梨県の農家の次男坊です。私自身がそれに当てはまるとは思いませんが、子供のころ手伝った農家の経験はその後の人生観に大きな影響を与えたことは確かです。

 夏休みの思い出というと、農業の手伝いしかありません。朝3時に起きて2tトラック一杯に野菜を積んで河口湖から小田原の市場に行ったものです。これは小学校4年生から大学生になるまでずっと続きました。

 小学生の頃はトラックの中では寝ているだけなのですが、それでも自分は何か家の仕事の役に立っている気分になっていました。

 中学生になると、両親はこんなに大変な肉体労働をしているのかと思い一所懸命働きました。私がやらない分は両親の仕事が増えるのですから。

 あんなに大変な仕事をしていたのに、両親からは仕事の愚痴を聞いたことが一度もありません。

 野菜は天気や相場に影響されるので、年収なんて全く約束されていません。苦労が報われないことも無条件に受け入れるしかありません。何があっても他人のせいにはできません。すべてが自己責任です。

 それが嫌なら他人の下で働けばいいのです。それですべてが解決できるのでしたら結構なことですが、世の中はそんなに甘くはありません。個人事業主、会社経営者、社員、誰もが言葉にできない苦悩を抱えているものです。

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「県庁というのはシンクタンクです。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って、皆さんは頭脳、知性の高い人たちです」・・・農家の息子ですみません。