人生を変える

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 私は25歳で銀行を退職して、29歳で税理士として起業しました。当時、それを知った若者たちから就職や転職の相談を受けたものです。

 青年海外協力隊帰りで税理士になりたいと父親と相談に来たA君…税理士ではなくて医学部への学士入学を勧めました。本人の能力や(親の)経済力、性格から、税理士ではもったいないと思ったからでした。

 私の弟がやる司法書士事務所に就職したいと言ってきた東北大学法学部の女子大生Bさん…目指すなら司法書士ではなくて司法試験だと勧めました。

 銀行を辞めて税理士になりたいと言ってきた後輩のC君…「絶対に銀行を辞めるな。中小企業診断士をとって銀行に残れ」と勧めました。性格的に起業タイプではなかったからです。

 結果として、彼らは私がアドバイスをした資格を取り、それぞれの世界で活躍しています。私のアドバイスがなかったら、きっと違った人生になったはずです。

 一方、上手くいかなかったケースもあります。銀行が嫌いだから辞めて税理士になりたいと言ってきたD君です。銀行に残ることを勧めました。動機が弱過ぎたからです。

 数ヵ月後、D君は銀行を退職して再度相談にきました。辞めて来たのなら仕方がないと、相談に乗りました。優秀な大学の出身なので資格は簡単に取れると思いましたが、結果は遠く及びませんでした。キツくて逃げ出したのです。

 会社を辞めるために、資格取得を大義名分で口にする人がいますが、だいたいダメですね。会社を辞めるのは、人生における大変な決断です。それが簡単にできるような人は、少し厳しい環境になるとまた簡単に逃げ出したくなるのです。

 起業は簡単ではありません。なにがあっても乗り越えるという堅い決心がないのならサラリーマンでいるのがいいのです。

 悩みの多いのが中小企業経営者です。答えのない経営判断をするにあたり、お役に立てる税理士でいたいものです。