設備投資しますか?

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 製造業を営む会社の多くは生産設備を保有しています。しかし一方では、設備投資を控えて外注に頼る会社も少なくはありません。さて、社長であるあなたは生産設備を自前で持つのと外注に頼るのと、どちらがいいと考えますか。

 一般的な経営者は、出来るだけ外注費が少なくてすむ内製がいいと考えます。確かに、外注先に儲けさせるよりは自社で儲けた方がいいという考えも分からなくはありません。

 設備投資により減価償却費や支払利息といった固定費が増加して損益分岐点は上昇することになります。そしてその投資効果が計画通りであれば固定費の増加は飲み込んでしまいますが、売上が思いのほか伸びずに固定費の増加を限界利益(=売上高△変動費)でまかなえないと、会社は経営に行き詰まってしまうこともあります。

 少し大掛かりの設備になると、自己資本だけでまかなうことは出来ませんから銀行借り入れを頼ることになります。そして当たり前ですが、借りたものは返さなくてはなりません。この返済は会社の利益に関係なく固定的に社外へ流出していきますから、事業が好循環しているときにはいいのですが、これも少し業績が悪くなると返済額が大きな負担となってしまいます。

 設備投資をしたからには有効に活用したいものですが、昨日まで売れたモノが他社の魅力的商品の登場によって売れなくなるなど、市場の展開が早いときには設備の陳腐化も早まってしまいます。特に専用設備は汎用設備に比べてそのリスクが大きくなります。自社で保有する場合は、市場の展開に合わせた新型設備を常に保有することなど不可能というものです。しかも、簡単に廃棄も出来ませんから撤退の時期も判断に迷うことが多くなります。

 生産現場にとってもっとも効率がいいのは、生産設備がフル稼働している状態ですが、反対に稼働率を上げられない設備ほど始末の悪いものはありません。そしてなにより、当社の受注先企業が、突然なにかの事情で当社を差し置いて他社と取引を始めないなどと誰が約束してくれましょうか。

 上記のリスクは、設備を自社で持たずに外注に頼ることでそのすべてが解消されます。外注比率の削減ばかりが効率的な経営ではありません。すべてが外注対応、つまり固定費増がなくて変動費だけだったとしたなら、損益分岐点に変化はありませんから経営としては気楽なものです。

 どんな計画も予定通りに行かないこともあるので、その場合のリスクの回避または対応策を考えておくことも経営にとっては大切なことであります。これは決して後ろ向きの経営ではないのです。