成長拡大の戦略

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「今のまま、会社を大きくする気はありません」……こんなふうに言われる社長は結構いるものです。本当にそんな考えでいいのでしょうか。

 わたしは世の企業はひとつの例外もなく、成長拡大を続けなくてはならないと思っています。結果としてできるかできないかは別ですが、成長拡大は企業にとっては目指すべき当然の戦略のひとつです。これを理解されていない社長が多いことがとても残念でなりません。

 あなたの会社は、年商規模も社員の顔ぶれや社員数も変わらないまま、毎年昇給だけを続けていくことができるでしょうか。社員の入れ替わりもなく、若い社員に後輩も出来ないまま10年が経つことをイメージできるでしょうか。
 それでは、次の算式の答えを考えてみてください。

販売単価×販売数量=?   
 
 正解は「売上高」です。どんな会社も昨年よりも高い売価で数多く売らないことには会社は確実に衰退してしまうという法則があります。黙っていても人件費をはじめとして経費は年々増加していくものです。この法則には業種は関係ありません。もちろん会計事務所とて同じです。

 この算式は単純のようでいてとても大切なものです。売上は単価と数量で構成されていますから、売上を増やそうと思うのでしたら、単価か数量を増やすしかありません。単価と数量が増えることなしに他の方法では売上は絶対に増えないのです。

 会社を大きくする気はないと言っている社長に申し上げます。あなたの会社の顧客が、昨年が100件で今年も100件のまま、仕入値も売値も販売個数も昨年のままだとしたらどういうことになるのか、もうお分かりですよね。

 会社を大きくすることなく、今のまま現状維持をしたい気持ちも分からなくはありません。しかし、それで利益も今のままというのでしたら、それは残念ながら虫の良いお考えというしかありません。毎年少なくとも社員の昇給分だけは利益は減っていくに決まっています。

 社員にとって夢のある経営の最低条件は、売上を増やし規模を拡大することです。成長しない会社や縮小していく会社の社員に夢を見ろと言っても無理というものです。あなたの会社が社員を雇っているのであれば、経営者は嘘でもいいですから、社員に夢を語り続けなくてはならないのです。