与える喜びと与えられる喜び

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 募金や寄付と聞くととたんに怪訝な表情をされる方がいます。確かに時にはいかがわしげな募金活動もありますが、子どもたちが駅前であしなが学生募金や共同募金活動をしていると協力したくなる方は多いのではないでしょうか。

 募金をするとお財布からお金が出て行くにもかかわらず、幸せな気分になるのですから不思議です。何の見返りも期待することなく他人のためにする行為、それが幸せ感をもたらせてくれるのでしょう。お金が出ていった人もまたその恩恵を受けた人も幸せな気持ちになるのですから “Everybody’s happy” というものです。

 人から優しくされて喜ばない人はいません。誰だって何かをしてもらったら嬉しくなります。しかし本当の喜びは何かをしてもらった時に感じるのではなく、人に何かをしてあげた時に感じるのではないでしょうか。ですから見返りを期待せずに行う行為は幸福感を感じるための秘訣なのだと思います。

 何かをしてもらい続けることで喜んでいるのは幼い子どもや赤ちゃんで、人は成熟するにつれて人様の為に行う行為の方にこそ満たされた気持をもつようになっていくのです。

 会社の文化としては、人に対して何かしてあげることに喜びを覚えるような、そんな人たちの集合体であったら素敵ですね。ギブ&テイクではなく見返りを期待しないギブ&ギブがいいと言います。相手も同じようにギブ&ギブであったら結果としてギブ&テイクの関係になるのですが、それも相手に期待してしまったらギブ&ギブではなくなります。

 何の見返りも期待しない相手に対する一方的な思いと行為、例えるのなら親が子に対して愛情をこめてするような行為こそがギブ&ギブです。それはただ相手を思い、相手に合わせて優しく振舞うということではありません。相手を思えばこそ本気で厳しく接しなくてはならないこともあるのです。

 このように考えると、本当の社員満足というものは、社員にどれだけの待遇や環境が用意されているのかではない気がしてきます。社員の積極的で前向きな行為に対して、評価、称賛などができる社内の仕組みや企業文化こそが、より社員満足を高めるのではないでしょうか。