わがままなお客

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 コンビニでおにぎり棚に手を突っ込んで奥から取ろうとしているお客様がいます。あなたは経営者としてそれを見てどう思いますか。「手前の方から取ってくれ」と思ってしまいますよね。

 それでは、反対にお客さまの立場で考えるとどうでしょうか。日本人は食物の消費期限を気にし過ぎると言われますが、食べ物のことですから少しでも新しいものを手にしたいという気持ちはわたしにも分かります。

 わたし個人的には自宅でも、朝作ったおにぎりを夜に食べることはありません。ましてやお金を払って買うのですから、製造日を確認して消費期限が近くなったものは買いません。おにぎりやお弁当に熟成は必要ありませんから、できることなら新しいものを買いたいのです。悪いなと思いながらも、手前のおにぎりの消費期限を見てから奥のものと取り替えてしまうこともあります。

 こんなわたしですから、回転が悪く消費期限ぎりぎりのおにぎりしか並べていないコンビニには行きたくありません。わがままな客かもしれませんが、こんなお客もいるのです。売る側の都合など一切関係ないのです。食品、特に生ものは新鮮な物を買いたいと思うのは当たり前なのです。

 わたしのような客が多いためなのか、コンビニのおにぎりやお弁当の廃棄額はかなりのものです。廃棄されたものはゴミと一緒に処分されるのですからそれも悲しくなってしまいます。廃棄損は1店舗あたりでも年間数百万円は簡単に越えます。これはもうコンビニだけの問題ではなく、国家的に取り組まなくてはならない問題ではないかと思ってしまいます。

 購入時の先入れ先出しか後入れ先出し、そのどちらの考え方が正しいのかはどうでもいいのです。経営に消費行動の正否を論じ合ってもあまり意味はありません。なぜなら商品を買うのはお客様であって、売る側の都合や意見などはお客様にはまったく関係ないからです。

 お店が消費期限の2時間前に廃棄しているとしても、翌朝食べるおにぎりを買う人からすれば、棚の奥に手を突っ込むのは無理ありません。どうせお店の負担で廃棄処分するくらいなら、スーパーのように消費期限の数時間前に50円引きや半値にするなどして売り切る努力をしてもらいたいものです。