たった一人の入社式

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 去る4月1日、大石会計事務所は初の入社式を行いました。と言いましても、たった一人の入社式ですから盛大とは言えませんがすこしユニークで素敵な入社式だったと自画自賛しています。お祝いに駆けつけてくださったお客さまもお喜びいただけたのではないでしょうか。

 今年の新入社員は沖縄出身の素敵なレディ、仲村野花(やか)さんです。さすがに53倍の競争率を勝ち抜いただけのことはあり、しっかりしています。とても期待の持てる新人です。愚直とも思える真面目を絵にかいたような人柄は典型的な沖縄県人といったところでしょうか。

 一般的に会計事務所の採用といえば大半が中途採用です。特に大学新卒生を採用する事務所はほとんどありません。そんな訳で、昨年行った初めての会社説明会は、こちらとしても手探りの状態でした。我々がイメージしていた税理士志望の人の応募はほとんどなく、みなさん一般企業として応募しくれたのは意外なことでした。

 しかし、多摩地区の小さな会計事務所にこれほどの大学生が関心を示してくれたことは世の中の景気の悪さの反映ですから手放しに喜べることではありません。

 思えば20年近く前に初めて求人を出したころは、バブルの余韻がまだ残っている時代でした。家内と二人きりの小さな事務所に面接に来てくれるような人は多くはなく、面接に来てもらえるだけでありがたいと思えたほどです。当然いい人にはなかなか巡り合うことはなく、採用してはクビにし、また採用しては辞められの連続でした。

 今となってはそんな苦労は遠い昔の思い出になりました。こちらも変わりましたが改めて時代の移ろいを感じてしまいます。

 入社式では終始緊張していた新入社員でしたが、これから緊張しなくてはいけないのはむしろこちらの方です。いくつかの職場を経験したのちに大石会計を選んでくれた人もありがたいのですが、卒業後に最初の職場として大石会計事務所を選択してくれたのですから感謝とともに責任重大です。

 愛情に包まれたご家庭できちんと育てられた若者ではあっても22歳の若者は完成形には遠く及ばないものです。そんな若者を誇り高き社会人に成長させることも会社の使命です。

 新人を迎えるに当たって少し心配なことは、大石会計には優しすぎる先輩社員が多いことです。ただ優しいだけでは若者の夢の実現に一役買うことはできません。「厳しく接して優しく見守る」、これがこれからの大石会計における社内教育のテーマではないでしょうか。