借金を減らせ

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 先日2010年の公示価格が公表されましたが、全国の地価はこの1年の間にほぼ万遍なく下落していることを改めて感じました。特に関東圏では上昇した地点は1か所もありませんでした。国立市の住宅地も1割近い下落ですから、担保割れしてしまった不動産も少なくないはずです。

 平成に入ってからの長いながい不況の下で、各種の金利もずっと低く抑えられたままです。おかげで銀行借り入れが多い会社は大助かりです。しかし、かつては住宅ローンの金利は6〜8%が当たり前の時代もありました。可能性は低いのですが、もしも今借り入れ金利が7〜8%になったとしたら多くの会社はやっていくことが出来ません。

 しかし、よく考えてみるとデフレで物価が下落している現代ではモノの価値がどんどん下がっていくのですから、逆に考えればお金の価値は上がっていくことになるのです。1年前に1億円で買った100坪の土地が値下がりして9000万円になったとすると、その土地を買わずに1億円をそのまま持っていたら、そのお金で今なら値下がった同じ土地を111坪買えることになります。

 つまり1億円のお金を使わずに持っていたら、1年後には1億1千万円分の土地が買えるのです。反対に言うと、デフレ下においては土地をはじめとした所有資産は売却してお金に換えたり、借金の返済に回したりする方がいいのです。マクロ経済ではお金を使わないことによる負のスパイラルが考えられますが、ミクロで考えればお金は貯蓄しているだけで儲けられるという理屈です。

 このように考えると、借り入れ金利が安いと思っているのは大きな間違いで、現在のデフレ下においては表面金利よりもはるかに高い利息を払っていることになるのです。インフレ時には実質金利が表面金利よりも安くなるのと反対のことです。

 これを給料に当てはめると、物価が下落している現代では、昇給しなくても実質的に昇給しているのと同じ効果がありますから、現状維持でもたいしたものだという見方ができるのです。そして売り上げも前年維持なら実質は増収と同じことなのです。