将来の「快」のために

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「楽しく生きられたらいい」、「人生笑って暮らしたい」。お年寄りからこの言葉を聞くと、本当にその通りだなと思います。人生の晩年は楽しく穏やかに過ごしたいものです。

 ところで、同じ言葉を若者から聞くことがあります。同じセリフでも、これには薄っぺらな奴だと思わずにはいられません。若いころにそんなセリフを言っていた人で、その後に成功した人には会ったことがありません。

 振り子の原理で、人間の感情は必ず「苦」と「楽」、「快」と「不快」が一対になっています。「苦」「不快」に大きく振れるほど、その後にやってくる「楽」「快」は大きくなるものです。スポーツに例えると分かりやすいのではないでしょうか。振れ幅が小さいとその後の「楽」や「快」も小さくなるのは当たり前です。

 穏やかに晩年を迎えるためにも、「苦」とか「不快」は若いうちに経験したほうがいいのです。進んで苦労を拾って歩く人はいませんが、この頃の若い人は「苦」「不快」から簡単に逃れようとする人が多い気がします。昔の人が言った通り、買ってでもするべきものが「若き日の苦労」なのです。

 12月には恒例の税理士試験の発表があります。どんな試験でも、合格するまでにはそれなりの苦難は付き物ですが、合格した人のほとんどは、自分が合格することが当然だと思っています。簡単に手に出来ないものにこそ価値があると思っています。問題は、神様がいつ微笑んでくれるのか、そして、その時まで辛抱強く頑張り通せるのかどうかです。

「自分には出来ないのではないか」「向いていないのではないか」と迷いが強くなったらどうするか。迷い無くなるくらい頑張るしかありません。振り子の原理です。

 本当の苦労を経験しないまま、中途半端な状態で諦めてはなりません。いろんな理由をつけながら諦めた瞬間に、失敗が実現してしまうのです。人生の肝心な場面では簡単な諦めは厳禁です。人生の後半を穏やかに過ごすために、そして将来後悔しないためにも、若い人にはもう少し粘りを持ってほしいものです。他人は誤魔化せても、自分自身の心は誤魔化せないのですから。