健康管理

LINEで送る

「社長が倒れました」。先日もこんな報告が事務所に入ってきました。経営者は無理をしがちですが、倒れてしまったのでは元も子もありません。

 3人に1人は糖尿病罹患かその予備軍、2人に1人は脂質異常症かその予備軍、3人に2人は高血圧かその予備軍……。厚生労働省の国民健康・栄養調査結果の概要(平成20年)によりますと国民の健康は非常事態と言えます。企業経営者の4人に3人が自身の健康に不安を感じているというのも頷けます。

 健康への不安を解消するためか、日ごろからジョギングやウォーキング、禁煙、バランスのとれた食生活を心がける経営者は少なくありません。いいことです。

 好きなだけ食べて飲んで、煙草も吸って、褒められない体型になっていたのでは、社員に「辛抱が大切だ!」とか「諦めた時が失敗だ!」と説いたとしても、説得力がありません。

「タバコくらい我慢できなくて、他の何なら我慢できるの?」と言った人がいますが、私も全くその通りだと思います。良くないと分かっていても止められないのですからゲームを止められない子供と同じレベルです。

 もっとも、そう言っている私も40歳過ぎまでかなりのヘビースモーカーでしたから偉そうに言えません。私がタバコを吸っていた当時の我が社は、社員全員が喫煙者でしたが、今では私が知る限り喫煙者はいなくなりました。禁煙を強制したわけではありません。社員は経営者の背中を見て学びますから経営者が何をやるかは大切です。

 社員からすれば、経営者の言っていることは無視し、やっていることだけを見ていればその経営者の本当の姿がわかるものです。自分は努力もせずに、社員の尻を叩いて「それ行け、やれ行け」と笛吹いたところで社員は楽しく踊れません。

 健康診断や人間ドックなどを年1回以上受診している経営者は約半数にとどまるという調査結果もあります。40~50代になると、ガンや心疾患などの発症リスクが高まりますから、おっくうがらずに定期的に受診してほしいものです。

 経営者は財務諸表を見て会社の健康状態をまめにチェックするのと同じように自身の健康状態を管理するのも仕事のひとつです。さらに、もしもに備えて生命保険や損害保険も会社として加入することも忘れてはなりません。ほぼすべての中小企業において「社長=会社」なのですから。