野蛮な連帯保証制度

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 このところ、借金の連帯保証人になった人から深刻な相談が複数件寄せられています。自己破産する人のうち、4人に1人は他人の連帯保証人になった人だといいます。
オーナー社長が自社の借入金の連帯保証人になるならまだしも、経営には直接関係のない第三者が連帯保証人になって返済義務を負ってしまうというのはいかがなものでしょうか。

 知人の司法書士さんから聞いた話では、連帯保証人制度は欧米人から見たら野蛮な制度で日本にしかない制度だそうです。大切な人を人質にとられているようなもので、経済的なメリットは何もなくリスクだけを負ってしまうのが連帯保証人制度です。

 債務者(借りた人)が何らかの理由で返済できなくなったときには、債権者(貸した人)は連帯保証人にいきなり全額の弁済を求めることができるのです。つまり連帯保証人は自分が借りたのと同じ状況になってしまうのです。

 中小企業が銀行借り入れするときには必ず社長の連帯保証を求められます。大企業ではありえないことですが、中小企業ではたとえ雇われ社長であっても必ず求められます。そして社長を辞めたり解任されたりしても連帯保証人としての立場はそのまま残ってしまいますから、怖い制度なのです。

 同様に住宅ローン等で配偶者が連帯保証人になっている場合は、たとえ離婚しても連帯保証が外れることはありません。また連帯保証人の義務は、保証人が亡くなると相続されますから相続人は知らなかったでは済まされません。場合によっては相続放棄したほうがいいケースもあるのです。

 連帯保証を頼まれるとなかなか断りづらいのも確かです。頼む債務者も十分な資金繰りや財務状況の説明をしないままお願いだけするのも良くないですし、債権者も連帯保証人の責任に対して十分な説明をしていないのが一般的です。

 連帯保証制度の廃止も議論されていますが、実際にはそれほど単純な話ではない気がします。連帯保証制度がなくなり借り手が有利になれば、反対に貸し手は不利になるということです。銀行が融資に慎重になって簡単にお金を貸さなくなったのでは企業はなお困ります。

 基本は、他人には連帯保証を頼まないし頼まれないことです。自分の力だけで出来ないとしたら無理な事業拡大は控えた方がいいのです。ただ大きくすればいいというものではありません。