怖い電車

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「お客さん、お客さん!!」。駅員さんに肩を叩かれ目が覚める。“ここは何処?”、状況が飲み込めない。そう、やってしまいました。寝過ごしです。

 高尾駅、中央線の終点です。普段は用事がないので、滅多に降りることのない駅です。上りの終電は遠く彼方へ、タクシー乗り場に向かうほかありません。

 するとそこには既に二人の客が……。聞けば、国分寺、荻窪まで帰る人。国立に向かう私と三人で割り勘と大人の交渉が成立。

 東京駅近辺での飲酒は、国立に帰る私にとって中央線の始発なので助かります。座って帰れるからです。ところが今回は座ったのが運の尽き、一瞬で深い眠りにつき、気付いた時には終点の高尾駅。

 タクシーの中で、同類が相憐れみながら名刺交換なんてしつつお互いの状況説明。同類の一人は、今月転勤で名古屋から引っ越してきたばかりなのに、早くも3回目の失態だそうで、「中央線は怖い」と言う。山梨まで行ってしまったこともあるらしい。中央線よりも奥さんの方が怖いと思うのですが。

 しかし、たまにはこんなアクシデントも楽しいものです。といいますのも、誰からも見た目で呑兵衛だと判断される私ですが、ほんの5年前までお酒が飲めなかったからです。乾杯のビールで朝までもつ、いわゆる下戸というやつでした。

 お酒好きの社員に引き回され、50歳間際にして才能が開花したのですからありがたいものです。その社員にはいくら感謝しても足りません。そんな私にとっては、酒の失敗も人様に迷惑をかけない範囲なら楽しいものです。

 かつてのお酒を飲まない私でしたら、用事が済んだらとっとと帰るしかなかったのですが、この頃はちょっと一杯。大人になったものです。