煩悩

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 セコい、狡い、腹黒い、意地悪、エッチ……私自身の性格の一部です。煩悩はしっかり108個ある気がします。えっ、あなたは違うって?

 いやいや、そんなことはないと思います。あなたも少し意地悪で、少しエッチだと思います。

 狡くて腹黒く意地悪な人と聞くと避けたくなりますが、そんな要素は誰だって多少は持っているものです。世の中、良いところばかりの人も、悪いところばかりの人もいないのです。どちらが強く表に出るかの違いだけなのです。

 私も50年以上生きてきましたが、悪いところがひとつもない仙人のような人には出会ったことがありません。もしかしたらどこかに仙人はいるのかもしれませんが、少なくとも私は友達になりたいとは思いません。

 欲や執着心、愚かな考えがいいとは言いませんが、そんな煩悩は人間に苦しみや悩みをもたらすだけでなく、成長をもたらしてくれるものでもあります。

あまりに正論ばかりでは周囲は楽しくなくなります。正論が人を動かすことはありません。反対に相手の逃げ道をなくすだけでなく、傷つけることもあります。「水清ければ魚棲まず」と言います。多少の濁りや淀みがあるから、魚も棲みやすいのではないでしょうか。

 自分のダメな部分を認識しつつ、昨日より少しでもマシな自分になる。生きる目的のひとつは、そんなところにもある気がします。それはもう、煩悩との戦いそのものです。

 とは言うものの、日常の中ではなかなか修正できません。だからこそ、機会をつくって時々リセットする必要があります。その助けとなっているのが月2回開催している論語教室です。

「大切なのは外見でなくて中身」「大切なのはお金ではなくて心」……論語にはこんな当たり前の正論はストレートに書かれておりません。面白いエピソードや弟子との掛け合いの中に教えがあるから楽しく学べます。お釈迦様のように禁欲を勧めるものでもありません。論語が2500年もの間世界中で読まれ続けてきた訳がここにある気がします。