いい会社②

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20160606

 「社員にとっていい会社を創りたい」と言って、社員から反対意見が出てきたことはありません。出てくる筈がありません。

 いい会社といっても、優しく包み込むような緩い空気の流れる会社をイメージしていません。会社ですから仕事は厳しいのが当たり前です。そこに異議を唱える社員は一人もいませんでした。

 厳しさや辛さが大きいほど、振り子の原理が働いて乗り越えたときの達成感は大きくなります。簡単に目標をクリアしたとて、大きな達成感なんて得られません。

 いい会社に向けてはじめに私が意識したのは、社員に嫌な思いをさせないことです。派閥や対立、虐めがなくなること等々、社員が会社に来たくなくなるような空気を絶対に作らないことです。

 そのために論語や教育勅語を通じて人間学を学んだり、理念やクレドについて毎日語ったりすること、地域清掃やマラソン等々で「会社はおとなの学校」を実践することでした。

 おとなの学校の教科にはそれぞれに意味があります。単に楽しそうだから、反対に苦しそうだからやらせているというものはありません。どれも経営理念を体現したものです。

 で、経営者の皆様に本当に言いたいことはここからです。

 お客様志向から社員志向になってからの方が、結果として事務所の勢いが増したのです。しかも加速度的に。

 予想外のことでしたが、いまになると私は決してそれが偶然とは思えません。志向も近く水準の高い社員が入ってきますから、社員の人間力も一体感も増すからです。

 もちろん誰にとってもいい会社ではありません。弊社の志向に合わない成果主義の人や、平気で人の悪口を言う社員は残念ですが辞めていきます。それでいいのです。

 まだまだ社員にとっていい会社なんて実現できていません。しかし、それを目指していくことに、目指し続けることに意義があると思っています。

 私は人生の目的を、昨日より少しでもいい自分になることと考えています。一気にいい人になんてなれるはずもありませんし、それでは楽しそうにありません。適当な緩さも必要です。

 同じように社員にとってのいい会社も、一朝一夕にできるものではありません。少しでもそこに向いたいと思うことそのものが大切ではないでしょうか。

 私自身が犠牲になって、ひたすら社員のために尽くしたいとは思っていません。しかし、命がけで社員と社員の家族を守る覚悟はあります。何があっても経営者は逃げられないのですから。