トイレ掃除

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 トイレ掃除をしている私に社員のKさん、「いつもありがとうございます。大変ですね」と声掛けしてくれました。こんな一言ってありがたいものです。心が通い合う瞬間です。

 素手に亀の子だわしでの男子トイレ掃除は10数年来の日課です。直接のきっかけはイエローハットの鍵山秀三郎さんの『掃除道』を読んだことでした。

 私がトイレ掃除を始めた当初、社員は誰も声をかけてきませんでした。気にして欲しかった訳ではないのですが、誰もが知らん振りというのには結構な違和感がありました。

 会社の社長が突然トイレ掃除をはじめたら、社員はどう対応したらいいのか混乱するようです。

 ひと月が過ぎたころ、Tくんが「だだ・・・代表、何やってるんですか。私がやります」とトイレに飛び込んできました。Tくんはひと月の間私がトイレ掃除をしていたことに気付かなかったのです。でも気付いた瞬間に声を発するTくんは勇気ある人だなと思ったものです。

 それとは種類が違いますが、みなさんは駅のトイレの清掃員さんや道路工事の交通誘導員さんをどのように見ていますか。

 多くの人は、仕事だから当たり前と思って見ていませんか。そもそも人として認識していないかもしれませんね。単なる物体、景色の一部として見ていたら「ありがとう」とも思うことはありません。

 私たちは無意識のうちに隣人を物体としてしか認識していないことがあります。誰にも苦労や悩み、夢があり、がんばって生きているということに思いが及ばないものです。いちいち気にしていられないのかもしれませんが、自分と同じように生きていると思ったら見え方が変わる気がします。

 私はコンビニやファミレスで店員さんに「ありがとう」と言いますが、思えば駅のトイレ清掃員さんに「ありがとう」「お疲れさま」と言っていませんでした。

 大石会計の週一地域清掃にさえも、「ありがとう」とお声がけくださる方がいるのに……立場が変わると気付かないものです。ああ今日も反省のバカ野郎です。