若いころ

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 私には二人の子供がいます。上の娘は最近就職し、下の息子は就職内定をいただいたところです。肩の荷が下りたとまではいきませんが、多少ホッとしているところです。

 子供たちを自立させることが親の責務と考えると、叶いつつあることを喜ばしく思うのと同時に、手元から離れていく淋しさも少なからずあります。

 子供たちには、このコラムで書いているようなことを機会があれば家庭内でも話しています。ただ、親子の会話なので理解しているのかは分かりません。

 若者たちは、学生時代が勉強、サークル、アルバイト、就職活動と一生のうちで一番忙しい盛りで、卒業さえしたら暇になるだろうと考えがちです。

 あに図らんや、就職してみると忙しさの種類は学生時代とは違ってきますが、忙しいということには何ら変わりがないのです。むしろ忙しさは次第に増してくるもので、個人的に自由になる時間は圧倒的に減ることになります。

 ですから、就職したら簿記や英語など資格の勉強をしようなどと思っても、時間の捻出は学生時代ほど容易ではありません。

 私は若いころに父から、「人生は30歳までで決まる」と言われてきました。若いころ必死に身につけてきたスキルや知識、健康、人間関係は、中年期以降に花開くことは経験上も実感できます。

 若い頃の目先のお金は大した問題ではありません。私が会計事務所に勤め始めた20歳半ばに、年収が私の2倍以上あると自慢げに話す友人がいました。その後の彼はさっぱりです。美味しそうな儲け話に乗って自己破産に追い込まれた若者も見てきました。

 お金は現実の問題なので、もちろん大切です。特に中年期以降は子育て、資産形成、自身の老後問題等ますます大切になってきます。その時になって自分の中身のなさに気付いたのでは遅いのです。

 20歳代では学んだことを実践して本当の力をつけること、なによりも高尚な職業観を身につけることが大切です。『過去の因を知らんと欲せば、現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲せば、現在の因を見よ』ですね。

 このように書いたことで、大石会計の給料は低いのではないかと思われては困ります。社員の低賃金は経営者にとって恥ずべきことだからです。大石会計の給与水準は多摩地区の会計事務所では上位5%以内に入っている筈です・・・たぶん。