皿の上②


 先週のコラムに『皿の上で勝負をするな』と書きました。これは決して料理自体はどうでもいいと言っているのではありません。繁盛していない飲食店が陥りやすいのが皿の上の勝負だと言いたのです。

 ある歯科医院が患者さんにアンケートをとった結果には、とても興味を惹かれました。

  1. 予約の電話の応対はいかがでしたか?
  2. 駐車場は止めやすかったですか?
  3. 待合室の雰囲気はいかがでしたか?
  4. 待ち時間は適当でしたか?
  5. 窓口対応はいかがでしたか?

 ここまでで高評価をつけた患者さんはその後の治療の評価を高くつけ、反対に低評価をつけた患者さんは治療にも低い評価をつけたそうです。

 つまり飲食店でいったら、料理が出る前に勝負は決まっているということです。それなのに職人経営者は皿の上で勝負をしたがるのです。

 三ツ星を目指す料理人からは怒られるかもしれませんが、皿の上から意識を少し他に向けてみてはいかがでしょうか。

 料理で頂上を目指すのではなく8合目でもいいと割り切ったら、予想外の世界が展開されるはずです。これは飲食店や歯医者に限ったことではありません。

 料理のレベルを下げるのではありません。料理は今の水準でいいので、意識を他に向けてみることです。

 本場で修行を重ねた料理人がいる居酒屋と、アルバイト中心の居酒屋で、結果後者の方が売上げでは勝っているという例は少なくないのです。

 とびっきり明るい対応、お客様へ満面の微笑み、速い対応、おしゃれな洗面所、思いっきり豪華なデザート、ボリュームたっぷり、きれいなお姉さん…味を追求するよりも口コミは広がるはずです。

 わが子が通っていた幼稚園の園長先生が、「日本一優しい幼稚園にする」と言っていたことを思い出します。その言葉を聞いただけで園長先生と幼稚園が大好きになったものです。