顔の責任

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 暗い顔をしている人に、「どうかしましたか」と聞くと、「いえ、別に」……なんて場面は経験ありませんか。誰でも気落ちすることはありますが、周りに負のオーラを発している人が管理職でいるイメージはわたしにはありません。

 しかし、たいていの人は、イヤな出来事を思い始めるといつまでも考えてしまう傾向があります。気持ちの切り替えは簡単ではありませんが、イヤなことを思い続けることで何かが好転し、または解決してしまうことはあり得ません。

 もし思うだけで解決するのでしたらいつまでも思い続けるのがいいでしょうが、反対にイヤなことは思えば思うほど深みにはまり、夜も眠れないくらいにそのイヤだと思っていることを考え続けてしまうのですから不思議です。
 もちろん、どんなに情熱的な人でも不安や悩みは持っています。しかし明るく前向きな人は気持ちの切り替えが早く、イヤなことをいつまでも考えることはありません。多少へこむことがあったとしても回復は早いのです。わたしは、落ち込んだときにも、自分自身をコントロールでき明るく爽やかなに振舞えるような人を尊敬したくなります。

 人は明るく振舞っているときには、意識してイヤなことを考えようとしても出来ません。ためしに、肩を後ろに反らして胸を張り、あごを少しあげて、目と口を吊り上げて満面の笑顔を作ってみてください。その体勢でイヤなことや悲しい出来事を思い出すことが出来ますか。なかなか出来ない筈です。

 不思議なことですが、こんなふうにちょっと姿勢を変えるだけで気持ちも変わってしまいます。したがって、いつもニコニコ幸せそうな顔をしている人は、見た目だけではなく本当に幸せな気持ちになっています。表情が明るいと、暗い精神状態にはならないのですから。

 リンカーン元米大統領は『男は40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て』と言いました。大人になると、顔を見たらおおよそその人の生き方も見当がつきます。こどもの頃にはDNAで決められた顔も、年齢とともにその人自身の生き方や習慣が顔の表情となり、小さい頃にはなかった皺が刻まれていきます。つまり、いつもにこやかな人は笑い皺が、怒りっぽう人は怒り皺が自然についてしまいます。顔に責任があるのかどうかは分かりませんが、その生き様が顔に表れるのだとしたら自分の顔を意識しないわけにはいきません。

 わたしは、小学5年生の息子に「イヤなことを思い始めたら、1分以内に忘れなさい。意識して忘れるようにしなさい」と言っております。泣きべそをかきながらも、素直に従おうとしますから可愛いものです。わたし自身も無駄なことに時間を費やしたくはありませんから、瞬間イヤなことを考えてしまっても、この1分基準を意識的に実践するようにしています。これだけでもずいぶんストレスは減りますから、みなさまもやってみてはいかがでしょうか。