採用面接で

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 採用面接で「並みの人生がいいですか」、と聞くと全員が「それはいやです」と答えます。誰もが『成功したい』と思っているのです。彼らが何をもって『成功』と言うのかは分かりませんが、とにかく人並みはイヤみたいです。しかし、結果として大半の人は並または並以下の人生を送ってしまうということが分かっているのでしょうか。

 誰もが『成功したい』と思うのですから、それは前向きな思いではなく単なる願い事なのです。広辞苑には『成功……目的を達成すること』と書いてあります。つまり、なにか目指すものがハッキリしていることが成功の前提であり、漠然となにかを期待しているだけでは絶対に成功を実現することはありません。

 しかし残念なことですが、就職希望者のうち自らがなにかを積極的に身につけたい、覚えたい、変わりたいという思いが伝わる人はほとんどいません。それは「有給休暇はありますか」「残業は多いのですか」「試験休暇はありますか」といった彼らの質問からも容易に判断できます。それらも確かめる必要がある大切な質問ではありますが、多くの人はこれ以上の仕事の本質に係わる質問や、自分の将来の夢を語ることなく終わってしまいます。こんな質問が目立ってきたのも就職市場が売り手市場になってきた現れなのでしょう。そう言えばバブルの頃の面接でも同じ様な質問がよく聞かれたものでした。

 とても就職氷河期に学生時代を過ごしてきた人たちとは思えない稚拙な質問にガッカリしてしまいます。若者らしい少々型をはずれたダイナミックさや、なにかを成さんという気概が伝わってくる求職者に出会いたいものです。人は誰でも歳を重ねるにつれて保守的になっていくのが自然なのですから、若いうちから挑戦しようとする気概もないようでは先が思いやられます。もちろん、資格を取ることが大切なのは分かります。しかし、資格を取ることが最大の夢だったとしたらそれでは夢が小さすぎますし、本末転倒もいいところでしょう。与えられることのみに関心がいく自己変革能力の乏しい人は、残念ですが不採用にせざるを得ません。

 いまの身の丈に合った居心地のいい職場を探したい気持ちは理解できますが、発展途上の人にとって自分をより大きく変えてくれる可能性のある職場は、必ずしも居心地のいい職場とは限りません。習慣を変える過程には必ず違和感や時には苦痛を伴うものです。それでも成功したければ、いま現在の環境を変えたければ、自分自身を変えていくしかないのです。

 ちなみに大石会計が居心地のいい職場かどうかは分かりませんが、退職者が少ないことはわたしにとってはありがたいことです。とてもいい社員に恵まれたと素直に思えます。社員から、大石会計で働けて良かったと言われる職場、それがわたしにとっても理想の職場像であります。