必要な売上額

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 あなたの会社の経費は、これから1年の間にいくらかかるかお分かりですか。自分の会社の年間経費も把握できていないようでは先行きが心配になってきますが、いかがでしょうか。仕事を取ってくるのが社長の大事な仕事でもありますが、自分の会社がどのくらいの経費がかっているかぐらいは頭に入れたうえで、営業をして欲しいものです。

 将来の経費といっても、難しく考えることはありません。これまでの傾向を見れば、だいたいどのくらいかかるのかは簡単に分かります。特に固定費については特殊事情がない限り、毎期の増減は少なくほぼ一定しているのですから読みやすいといえます。大きく変動のない固定費についてさえ、将来のことは分からないものと勝手にややこしく考えてしまうと混乱してしまいます。多くの固定費は社内でコントロールできるのですから、きわめて予測しやすい経費といえるのです。

 このように将来の経費はかなりの精度で分かる一方で、簡単に分からないものが収益、つまり売上なのです。これは市場が相手ですから不確定な要素も多く、思い通りにコントロールすることは難しいのです。しかし、少なくとも当社が売り上げなくてはならない額、つまり当社にとっての必要な売上額は簡単に計算することができます。

 あなたの会社の今後1年間に予定される経費に必要とする利益額を加算したものが、あなたの会社の必要売上額(正確には粗利益額)ということです。したがって、1年間の経費を把握できていない経営者には、自分の会社で必要となる売上額もきっと把握できていないことでしょう。経営者には希望的な売上額ではなく、達成しなくてはならない必要売上額ぐらいは把握していて欲しいものです。

 経費も売上も将来のことは予測できないと思っては、成り行きの経営になってしまいます。頑張るだけ頑張って、結果として黒字だとか赤字だとかというのは成り行きの経営です。売上や利益は予測するものではありません。計画的に獲得しに行くものなのです。会社自体に計画があり目標があるからこそ、社員にも厳しめな課題を与えることができるのではないでしょうか。会社も社員も成り行きになってしまうようでは困りものですから……。