六中観

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 みなさまは、困ったときや苦しいときに浮かんでくる言葉があるでしょうか。

死中、活有り 人間、死んだ気になって頑張ればなんとかなるものです。どんなに追いつめられても活路はあります。
苦中、楽有り 楽ばかりでは頽廃してしまいます。苦しい中の楽こそが本当の楽ですから、苦しいことから逃れてばかりいてはいけません。
忙中、閑有り 何もすることのないただの暇は退屈して精神が散じてしまう無意味な閑です。忙中に掴んだ閑こそ本当の閑です。
壺中、天有り どんな境遇でも自分だけの別天地を持つことが大切です。音楽、芸術、信仰等を持つことで意に満たない俗生活から解放されるのです。
意中、人有り 心の中に目標として敬愛する人物がいることです。その人に近づこうと努力すること自体が人として修養になるのです。
腹中、書有り 腹の中に収まっている哲学があることです。頭の中の断片的な知識ではなく、揺るぎのない確固たる信念、哲学を持つことです。

 これは、わたしがふと苦しくなったときなどに思い浮かべる安岡正篤先生の「六中観」という教えです。安岡正篤先生はこの「六中観」で、いかなる場合も決して絶望したり、仕事に負けたり、屈託したり、精神的空虚に陥らないような生き方を説いておられます。

 わたしはこの「六中観」を、若き日に在職した銀行の、当時の人事部長であったN氏から教えていただきました。わたしが退職する時に、N氏から渡された1枚のコピーで知った「六中観」ですが、以来20年以上肌身離さず持ち歩いています。既にボロボロになった紙切れも、わたしにとっては大切な御守りであります。