子は親の鏡

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 電車の中や街中で、振る舞いのあまり良くない子どもを見かけることがあります。子どものやることですから可愛くもありますが、正直少し迷惑に思うこともあります。これは幼稚園や学校教育の影響なのでしょうか。そんな訳ありませんよね。挨拶が出来ないのも、マナーが悪いのも家庭の躾が悪いからに決まっています。

 よく「子は親の鏡」と言います。子どもを見たらおおよそ親の程度が分かるというものです。わたしたちの性格や考え方そして能力でさえも、DNAなどではなく成長の過程で身につくものですから、多くは両親の考え方や家庭内の会話に影響されているのです。

 これと同じように中小企業においては「社員は社長の鏡」とも言えます。社員は社長のことを好きであるか嫌いであるのかは別としても、必ず社長の影響を受けています。これは子どもが親の影響を受けるのと同じことです。

 お客様対応の素晴らしい社員も、ミスやトラブルの多い社員も、社長の考え方や社内でのコミュニケーションが少なからず影響しています。そしてこれらは最後には業績となって表れますから、会社の決算書は社長の人格そのものと言っても過言ではありません。

 トラブルに関してはそれが多い会社はいつもその始末に追われ、一方で少ない会社はただひたすら質の高いサービスの提供に専念することができます。サービスのトラブル、品質のトラブル、設備のトラブル、お客様とのトラブル、社員同士のトラブル、退職時のトラブル、社員の個人的トラブル……等々いろんな症状がありますから原因も別々のところにあるかのように思えますが、これもその根本的原因は社員にあるのではないのです。

 人は環境で育ちますから、子育てでは家庭環境が、社員教育には職場環境が与える影響が一番大きいのです。親や社長の行ないが正しければ、子や社員の行ないも正しいものになります。反対に、家庭や会社が乱れた時には、親や経営者に問題があることが多いのです。親の人生観が子を通して表われるように、社長の人生観が社員を通じて症状となって表われると思うと、親であり経営者でもあるわたし自身も自らを省みないではいられません。