意味のない「子ども手当」

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 2010年度国家予算の概算要求額が95兆円と聞きわが耳を疑ってしまいました。国家予算はここのところ80兆円台半ばで推移していたところ、政権交代と同時にバラ捲き行政へと変貌しようとしているのですから驚きです。

 今の国家を家庭に例えるなら、年収400万円の家庭が8000万円の借金を抱え、その返済と生活費に年間900万円かかってしまう状態なのですからただ事ではありません。

 多くの方からの非難を覚悟で言わせてもらうと、子ども手当月額26,000円はあり得ないバラ捲き行政の最たるものだと思っています。これを実施するために5兆円の予算がいるのだそうです。いったい誰が負担するというのでしょう。

 国民一人当たりでは4万円負担すればいい計算ですが、さしあたって多くの国民にとっては他人事に過ぎません。結局手当てをもらう子どもたちが、将来負担することになるのですから気の毒になります。しかしよく考えたら、もらうのは親であって、子どもではないのですから「親手当」と言うべきですね。

 少子化に歯止めをかけなくてはいけないのは確かにそのとおりです。しかし、そんな手当てで子どもが増えるのでしょうか。少子化の原因が家計にあるというのなら、裕福な家庭ほど子どもが多いことになるはずです。

 しかし、現実にはお医者さんなど経済的に余裕のある家庭は子どもの数は少なく、むしろ低所得者層の方が子宝に恵まれているケースが多いと感じるのは私だけでしょうか。貧乏人の子沢山とまでは言いませんが、所得階層と子どもの数に相関関係はないように思います。

 それ以前に、そもそもそんな手当てを当てにして子どもを産んだ人は誰もいません。頼んでもいないのにくれるというのですからありがた迷惑というものです。少子化対策なのか、それとも景気対策なのかは知りませんが、マニフェストに書いたからと言って無理にすべて実行してもらわなくても結構です。

 今回の政権交代は、わたし自身もそれを望んだ一人でしたが、政権の交代に意義があるのであって、自民党政権時代の政策をすべて否定するものではありません。郵政民営化はいまでも間違ってはいなかったと思うのですが…。