人材の採用と育成

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 社員を採用するということは、人格、習慣、知識、スキルなどの面で、こちらが想定している一定パターンを持った人を雇い入れるということです。

 もしもそのパターンが自社の予定していたものに合わない場合、その社員からそれを完全に取り払って新しいパターンに変えるのにはとても大きなパワーを要します。新しい人物を仲間に迎え入れるときに細心の注意を払っておくことで、そういった労力をもっと建設的な他の何かに向けることができるのです。

 急に退職した社員の穴埋め採用が多く、選り好みしている余裕などないという会社もあるでしょう。事情は分からなくもありませんが、これは愚かしいことです。いずれにしてもどこかで時間はかかるのです。

 はじめに最適の人物を選ぶべく社員の採用に時間をかけるか、あとで採用した人物をこちらが望んでいるような人材に変えることに時間をかけるか、どちらが効率的かということです。

 同じ時間をかけるのでしたら、採用に時間をかける方がいいに決まっています。でなければ採用試験や面接などどうでもよくなります。はじめから望ましい人材を採用して、出来ることならあるがままのパーソナリティで働いてもらえるのが一番なのです。基礎能力さえあればスキルや知識は磨きあげることは出来ますが、人格や習慣については周囲の力で変革することは容易ではありません。

 人材の育成は企業が果たさなくてはならない使命のひとつです。しかしそれには前提として、その人が会社に合った人物である必要があります。そもそも会社に合わない性格や習慣を持った人をこちら好みに変えるということは、相手にとっても幸せなことではありません。「そのままのあなたが必要です」なんて言える人材に出会えたら最高です。希望的観測は捨てて望ましい才能を持った人物を選ぶのに時間をかけたほうがいいのです。

 そのためには、採用にあたってこちらが求めている人物像をはっきりし、言語化しておいた方がいいのです。そしてその人物の将来の行動を予測するのに一番参考になるのは、その人物が過去に何度もおこなってきた具体的な行動です。採用面接に当たっては、一般論ではない具体的な過去の行動を聞くことのできる質問を用意しておくといいでしょう。