脳の錯覚

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 ものごとの結果を出し続ける人となかなか出せない人とでは何が違うのでしょうか。単純に能力の違いだけではないことは誰にでも分かります。能力の高さで結果が決まるのでしたら、チャレンジなんて誰もしなくなります。
 みなさまの周りにも、能力があってもいい結果を残せない人がいるのではないでしょうか。反対に、能力的には普通でも立派な結果を残している人もたくさんいるはずです。あなたが近いのはどちらのタイプでしょうか。
 結果を残せない人の多くは、努力の足りなさもありますが、何よりもまず自分自身を信じ切れていない人が多いように思います。人間の脳は本気で「できる」と思ったことに対してはそれを実現すべく全力で動きだすように出来ているそうです。結果を残せる人と残せない人の差は、能力そのものよりもイメージ力の差だと言うのです。
 人間の脳は、イメージしたことと実際に体験したことを区別できず、しばしば混同してしまいます。つまり、イメージしたことを実際に体験したことのように錯覚してしまうのです。梅干をイメージすると唾液が出るのはそのためです。その意味では人間の脳はあまり優れモノとは言えませんが、その特性を活用するのがイメージトレーニングです。
 成功した場面をイメージすることは成功体験を重ねているのと同じであり、反対に出来ないと思うことや失敗した場面をイメージすることは、実際に失敗の経験を重ねているのと同じことなのです。イメージの仕方ひとつでその事柄に得意意識や苦手意識を持つことになってしまいます。
 もっとも、成功をイメージしながらも、なかなかやる気が湧かない人もいます。そういう人は当然結果が出ません。そのイメージは左脳で考える空想だからです。本当の意味で脳を錯覚させるには、胸が熱くなったりワクワクするといったように、五感や感情につながるようなイメージでないとダメなようです。
 まだ達成していない目標について、達成した場面をイメージすることは将来から今を振り返っているのと同じことです。将来から見ると「現在の自分に欠けているもの」「やるべきこと」が明確に見えてきます。将来の成功の地点から見れば、いま目の前にある失敗や苦しさ、努力は単なるプロセスに過ぎないのです。
 間違いなく成功するために必要なステップなのだと分かっていれば、不安や焦り、迷いのような否定的感情は起こりません。苦しい環境も成功のための試練だと、むしろ喜んで受け入れられるのではないでしょうか。