マラソンと人生

LINEで送る

 このごろは空前のマラソンブームと言われ、走るビジネスパーソンが急増しています。東京マラソンをはじめとして人気の大会は高倍率の抽選ですから、完走することよりも抽選に通ることの方が難しいくらいです。

 スポーツショップのランニングコーナーの充実ぶりもまた大変なものです。レディースのランニングウェアなどはテニスウェアよりもオシャレですから、女性ランナーだけでなく男性にもありがたい話です。

 興味のない人にとっては、走ることのどこが楽しいのか理解に苦しむのではないでしょうか。数年前まで私も同じでした。健康のため、ダイエットのためでしたらもっと楽で効果的な方法があります。後付けで走る理由を言う人はいますが、多くのランナーには走ることに目的なんてありません。登山が好きな人と同じなのです。そこに山があるから登るだけです。

 また、人生に例えられることが多いマラソンでもありますが、マラソンと人生の大きな違いは、マラソンには明確なゴールがあることです。人生には、あらかじめ設けられたゴールなんて存在しないので自分で決めるしかありません。一度人生のゴールについて深く考えてみるのもいいのではないでしょうか。

 自分にとって価値のある目標をあらかじめ設定して、それを順々に達成していくことが成功なのだと言ったのはポール・J・マイヤーです。大きなゴールに向かう途中に小さなゴールをたくさん作って、ひとつずつクリアしていく過程が成功だと言うのです。財産をたくさん持っている人が成功者なのではありません。そして、あるとき成功者であった人も、目標がなくなってしまったら成功者ではなくなるのです。

 それでは、人生における究極のゴールは何なのでしょうか。ブレイントレーナーの西田文郎先生から、それは死に方だと教えられました。いつ、どこで、どんな死因で、誰に見守られて、その時の社会的な地位は、財産状況は……こんな人生のゴールを設定することには、大きな意味があります。死に方を真剣に考えるということは、これからの生き方を考えることにほかならないからです。死に様の宣言は生き様の宣言なのです。これには覚悟が要ります。