仕事と家庭

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 「開業して何年になりますか?」と、よく聞かれます。大石会計事務所の開業は、世の中がバブルといわれていた平成元年の8月です。 恥ずかしながら22年が過ぎてしまいました。

 開業から20年を超えたあたりから、 「長くやっているな〜」と思うようになったのと同時に「20年やってもこの程度か!」と、時に自責の念にかられることがあります。

 私が結婚したのも開業の前年ですから、やはり周囲がバブルで浮かれていたころです。 しかし私たち夫婦にはお金もなく、開業とは言っても、 当時住んでいた木造2DKのアパートの一室にパソコンとコピー機を持ち込んだだけのものでした。とても格好のいい開業とはいえませんでした。

 当初の目標は外に事務所を借りることでした。国立市内にワンルームの事務所を借りることができたのは 開業から半年が経ってからのことです。会計事務所としての強みなんて何もありませんから 、土日も正月もなく家内とふたりで必死になるだけでした。 その当時、仕事帰りに遅い夕食をとった定食屋の前を通ると、今でもそのころを思い出し胸の奥が少し重い気分になってしまいます。

 「仕事と家庭どちらが大切ですか?」と聞かれることがあります。もちろん他人からです。 家内からは「私と仕事、どっちが大切?」なんて聞かれたことはありません。どちらも大切ですが、圧倒的に仕事に神経を使っています。経営者としては当たり前のことです。

 仮に社長が、仕事より家庭の方が大切なんて言っていたらどうでしょう。私でしたらそんな社長の下で働くのは気が進みません。会社より家庭が大切なんて言っているようでは、社長なんて辞めた方がいいのです。商売はそんなに甘くはないのです。

 誰だって家庭が大切なのはもちろんですが、家庭を多少犠牲にしながらも家族の理解を得て後顧の憂いなく仕事に臨めたら最高です。感覚的には8:2で仕事を重視するのがいいように思います。9:1でもいいくらいです。

 社員や取引先のことを考えると、個人的なことは後回しにするしかありません。そしてなによりも経営者は銀行借り入れについて連帯保証をしているのです。 事業が失敗したら家庭が穏やかでいられる筈がありません。どの道ある程度の年齢になったら仕事なんてやりたくても出来なくなってしまうのですから。やれるときにやった方がいいのです。