未払い残業代

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 ある日、弁護士事務所から届いた一通の内容証明。中身は退職した社員からの「未払い残業代」の請求。この1〜2年、世の中ではそんな労使トラブルが頻発しています。

 あなたは、「わが社は社員といい関係にあるから大丈夫」なんて思っていませんか。そうだとしたら平和な人です。いつまでも平和でいてくれるといいのですが、退職していく社員のほぼ全員が、会社といい関係だとは思っていないのです。給料が安くて辞めるのではありません。いい気分になれないから辞めるのです。うっかり解雇でもしようものなら、なにが起こるか分からないのが最近の傾向です。

 試しに、ネットで「サービス残業」と検索してみてください。数百万件もヒットします。情報が氾濫して経営者よりも社員の方に知恵がついているのです。人事労務の世界では、なんとも恐ろしいシナリオが展開されようとしているのが分かります。もはや他人事ではないのです。

「同業他社よりも高い給料を払っていたのに」「管理職手当を払っていたのに」「営業手当を払っていたのに」「ボーナスをたくさん払ったのに」「遅刻も許していたのに」「就業時間内の病院通いもOKだったのに」「夕飯の出前は会社持ちだったのに」……もはや、経営者が良かれとの思いでやってきたことも関係ありません。むしろ、高い給料や管理職手当、営業手当が残業代の基礎となる賃金に算入されてしまうのですから、こちらの思惑とはずいぶん違ってきます。

 一部の弁護士の間では、消費者金融への「過払い利息請求」がひと段落したいま、未払い残業代は「宝の山」とか「残業代バブル」と言われています。つまり弁護士にとって貴重な収益源として注目されているのが、この分野なのです。

 未払い残業代を請求された場合、基本的には会社側が厳しい状況に追い込まれてしまうと弁護士も社会保険労務士も口をそろえて言います。労働基準法をはじめとする労働法の多くは、労働者の権利を守ることを旨としています。したがって、どうしても会社側は不利な扱いを受けます。「労働者=弱者」という考え方が基にあるのです。

 弱い立場の会社を守るためには、しっかりした就業規則を作ることです。就業規則はありさえすればいいというものではありません。会社を守ってくれる就業規則になっているでしょうか。数年以上前に作って作りっぱなしになってはいないでしょうか。心配になられた方は大石会計事務所にご一報ください。