まずは形から3

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 震災対応の批判に対して「初めてのことだから」と菅首相。確かにそれはそうですけど……。就任直後からやることなすこと文句をつけられ、震災前にはすっかり覇気を失っていたのですから泣きっ面に蜂とはこのことです。

 いつの時代でも有事に際しては剛腕なリーダーが求められます。いちいちみんなの意見を聞いて合議制で物事を進めていたのでは、急な変化や展開についていけません。行き当たりばったりの判断では周囲は右往左往してしまいますから、そこにはリーダーのビジョンや哲学が必要となります。そのビジョンや哲学の大きさや崇高さがその人のリーダーとしての能力なのです。

 そもそもリーダーとは管理する人ではありません。リードする人、つまり導くことのできる人です。それはまさに中小企業の経営者にもそのまま当てはまります。競争もリスクもトラブルも多い中小企業の経営はいつでも有事のようなものです。安穏としてなんていられません。

 部下の意見を参考にするのは結構ですが、100人中95人が賛成するような常識的なやり方で経営は上手くいかないことも心してください。常識的なやりかたで成功するのなら100人中95人が成功者になれる筈ですが、現実には成功者は数%しかいないのです。つまりその僅かな成功者たちはみんな非常識な人たちだと考えるべきなのです。

 小さなことは部下に任せつつも、大きな判断は経営者がワンマンでするのがいいのです。なぜなら、何があっても経営上の責任を負うのは社長ただ一人だからです。責任を負うことができない者に決定権などないのです。責任ある立場の人間と責任のない人間とでは考え方にも判断力にも大きな違いがあるのですから。

 時に「自分のクビをかけます」なんていう勇気ある社員もいるかもしれませんが、会社を辞めることと責任をとることとはまったく別の話なのです。企業経営において責任をとるということは、経済的に償いをすることです。つまり、金銭的に責任が取れるかどうかなのです。経済的な責任を取れない人に決定権を与えることはできません。

 こんな厳しい時代だからこそ、経営者は多少の異論は振り払ってでも自らが決断し、引っ張っていくものだと覚悟を決めて経営に当たることが大切なのです。