一人1000万円

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 中小企業に限らず、企業にとって永遠のテーマは“人”ではないでしょうか。人についての問題が何もない会社というのは聞いたことがありません。有能で前向きな社員ばかりがいてくれるといい会社になるとは思いますが、普通の中小企業には優秀な人材ばかりは集まらないものです。

 どこの会社にも少なからずお荷物の社員はいます。ダメ社員が辞めて出来のいい社員が入ってくる。これが繰り返されると素晴らしい会社になるような気がしてきます。しかし、あにはからんや。4番バッターだけで野球は戦えません。ドライバーだけではゴルフはできないのです。そもそも4番バッターばかり集められるほど魅力的な中小企業がどれだけあるでしょうか。

 社員の立場では、やり甲斐があって給料の高い会社、そんな会社で働きたいものです。一方会社側からすると、給料といえども立派なコストですから少ない方がいいに決まっています。

 経営者の立場と社員の立場、普通に考えたら利害は相反します。両者の間には対立があって当たり前です。社員の給料が高かったら会社の利益が減り、給料が低かったら利益が増えるというわけです。

 しかし、これもあにはからんやです。社員の給料が高くかつ会社の利益も大きい、つまり両者Win‐Winの関係は可能なのです。

 両者が納得できる状況は一人当たりの生産性を上げることでしか実現できません。つまり同業他社に比べ生産性が5割増しで、一人当たり給与が2割増しであれば、会社にとっても社員にとっても理想的です。

 社員にとって関心のある給料とは、一人当たりの給料です。損益計算書上の給与手当ではなく自分がいくら貰えるかなのです。一方、会社にとっては給与総額さえ少なければ一人当たりの給料はどんなに多くても構わないのです。

楽をして稼ぎたいと思っている社員は多くありません。むしろ、意味のある仕事で大きな成果を出したいと思っているのです。みんなで知恵を出し合って高い生産性を作り上げることは、社員にとっても会社にとっても共通の目標なのです。中小企業における一人当たり生産性(粗利)、当面の目標は年1000万円です。