監督次第

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 かつては野球少年だった私ですが、いまでは東北楽天ゴールデンイーグルスの名称に“ゴールデン”が入るのを最近になって知ったというくらい、プロ野球には興味がありません。

 そんな私でも、今年のプロ野球は面白かったです。24勝無敗だった田中マー君の登板するゲームは、夢中になってテレビ観戦していた子供の頃の自分に戻った気分で見ていました。

 今年のプロ野球を制したイーグルスは創立9年目でした。田尾安志監督でスタートした1年目は最下位。2年目は監督を入れ替え名将野村克也監督に。就任4年目でリーグ2位とどうにか結果を残し、さあこれからという時にブラウン監督に交代して再び最下位に。ここで星野仙一監督の登場です。就任2年目まではBクラスでしたが、3年目の今年は見事に優勝ですから大躍進です。

 結果が出ないと簡単に監督を代えるのはアメリカ流というか、結果が出ても気分で代えるのは中小企業っぽいというか、良くも悪くもそれが三木谷さん流なのでしょう。

 スポーツの世界では、監督が代わると弱小チームが強豪チームに変わることはよくあることです。プロ野球の西本幸雄監督、池田高校野球部の蔦監督、伏見工業高校ラグビー部の山口良治監督、全日本女子サッカーの佐々木則夫監督、マラソンの小出義雄監督、松虫中学陸上部の原田隆史先生……スポーツの歴史は名監督が作ってきたといっても過言ではありません。

 ポテンシャルの高い選手を集めたら強いチームができそうな気がします。しかし、それで勝てるかどうかは別です。団体戦で重要なことは、単に個人能力の結集だけではありません。目指すべきチーム作り戦略や連携、調和などの作戦が大事です。4番バッターばかり集めても野球は勝てないのです。

 どうやったら勝てるチームを作れるのか。これを簡単に言語化できたら苦労はありません。頂上に登るにはいくつものルートがあるのです。その道筋を自分なりに示すのが監督の仕事です。

 これは企業経営も同じです。中小企業の社長は、まさに監督そのものです。結果が出るも出ないも監督次第。選手にいい思いをさせたり、幸せにさせたりするのは監督によるところが大きいのです。あぁ、責任重大。