いい社長

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 みなさまは、良い会社と聞いてどんな会社を思い浮かべますか。売り上げが大きい、利益が大きい、成長している、社員数が多い、給料がいい、休みが多い……どれもあったらいいですね。

 私はなんとなくですが「良い会社」と「いい会社」とを使い分けています。「良い会社」は高収益企業、「いい会社」は社員をはじめとして会社をとりまく多くの人たちにとってのいい会社、そんな使い方です。

 それはともかく、経営者になったからには優良な会社をつくりたいのは当然です。しかし、ただ儲かるだけでは自慢にもなりません。そこに関わる人たちが幸せに感じられる会社がいいですね。

 顧客満足は大切ですが、顧客満足のために社員が不幸になっては困りますし、顧客満足のために地域社会を犠牲にするのもあり得ません。社員がある一定程度満たされていなくて、あるいは地域社会に受け入れられていなくてはいい会社にはなり得ません。

 会社に瞬間的に大きな利益を計上するだけでしたら、いろんなやり方があると思います。しかし、会社の良い状態を長持ちさせようと思うのでしたらやり方だけでは足りません。

 これは私にも足りないところなのですが、良い状態を長持ちさせるには、まずもって社長がいい人でなくてはなりません。もっとも、いい人であることが何より優先されるわけではありません。いい人が経営する会社が全部うまくいくのではなく、長持ちしている会社の社長がいい人なのです。

 もちろん責任ある社長ですから厳しさは必要ですが、最後にはいい人でなければなりません。いい人の周りにはいい人が集まります。社員が大切にされていない、安心できない、そんな感情の下でどうしてお客様にご満足のいくサービスが提供できるでしょうか。

 社長の人生観は企業文化となって表れます。社員だけでなく地域にも受け入れられる、そんないい企業文化の会社こそ、良い状態が長持ちするのではないでしょうか。いい文化をつくっていきたいものです。

『道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である』……二宮尊徳