死生観

LINEで送る

先日、「経営者が抱くべき死生観」というタイトルの講演会に参加してきました。講師は国内外の経営者、政府首脳、国際的リーダーから戦略・政策の提言を求められ、世界を舞台に活躍されている田坂広志先生です。

経営者として大成するには「戦争」、「大病」、「投獄」という体験のいずれかを持っていなければならないとのこと。この頃では戦争や投獄を経験した人は少なくなりましたが、要するに、優れた経営者の条件としては生死にかかわる体験が必要なのでしょう。

 死生観は重量感に通じますので、困難な体験をされた方の言葉には重みがあります。私など、感謝も反省も足りない人間ですので、とてもそのような方には及びません。いつ死んでも悔いがないどころか、まだまだやり残したことばかりです。郷里で暮らす母にも、連絡のないのは無事の知らせとばかりに孝を尽くせていません。 

 死の直前に過去を振り返って、「楽しかった」なんてことは決して口にしたくありません。そんな軽い人生にだけはしたくはないなとの思いは確かにあります。しかし、すべて悔いなくやり尽くせるかというと、今の自分には足りないものばかりです。
最近は安倍総理をはじめとして、日本が「右傾化」していると言われます。軍備を増強、戦争を肯定と主張する勇敢な発言はいいが、言っている本人やその子供たちが戦地に行くことをイメージして言っているのでしょうか。

 多くの戦争経験者からは「あんなことはあってはならない」と聞きます。実際に戦争を経験した人が言うのならともかく、戦争を経験していない人が「軍備を増強したほうがいい」、「徴兵制がいい」などと言っても説得力はありません。理屈脳で考えているのです。理屈ではなく、「あんな体験は懲りごり」と言っている戦争体験者の言葉にこそ重みがあります。

 弊社のある女性社員は、15歳の時に20歳のお兄さんを亡くしたそうです。多感な年ごろに経験した喪失感は言葉では表現しきれないでしょう。彼女はいつ死んでも悔いはないと言います。朝礼でのスピーチだったので多くは語りませんでしたが、ある種の覚悟を持って、日々やり残すことのないような人生を送っているのだなと感じました。

 厳しさにも優しさにも深みがあります。なるほど、こういう人が経営をするといい会社をつくれるのでしょう。今日も社員に学ばせてもらいました。