新規客or既存客

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「時に感じては花にも涙を賤ぎ」……春望(杜甫)の一節ですが、私が花を見て美しいと実感するようになったのは40歳を過ぎてからです。
それまでは心に余裕がなかったのかそれとも情緒そのものがなかったのか。そんな私でも桜にだけは心が躍ります。

 春は入学、就職、転勤と、人が大きく動くときです。B to Cのお仕事をしている方にとってはとても大きなチャンスです。黙っていても新しいお客様が市場に湧き出てくるのです。

 ここで新たなお客様と出会えないと次の大きなチャンスは当分先になってしまいます。新規客をお店に誘導すべく、最大限の工夫をしてもらいたいものです。

 売り上げが伸び悩んでいるある美容院の店長は、「でも、うちは他店に比べたら新規客が多い」と胸を張っていました。なるほど。しかし、新規客が多くて売り上げが伸びていないことが一番よくない状態なのです。一度で見切られたのですから。

 本当に大切なのは、新規客を呼び込むことではありません。その新規客が2回目に来店してくれて初めて営業の成功と言えるのです。2回目に来てもらえないサービスでしたら、口コミどころではありません。

 新規客獲得コストは既存客維持コストに比べたら5~6倍かかります。どんなに新規客を呼び込んだところで、既存客をとりこぼしていたのでは意味がありません。 

 春は出会いだけでなく、退職、卒業と別れもありますから自然と既存客数は減る季節です。結局のところ新規客、既存客どちらも大切ということですね。