良好な関係作り

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 先日の論語教室の時間、私のシャープペンの芯が切れていて困っていたら、それを隣で見ていた弊社で一番若い中山さんが自分のシャープペンを貸してくれました。

 しかし、それは私が困り始めてから20分もしてからです。しかも彼はシャープペンを2本持っていたのにです。

「こいつ、なんていい奴なんだ」

 彼は、私に貸したいと思いながら、20分のに間言い出せないでいたのです。立場の違いなのか、私が怖かったのか分りませんが、とにかく彼は勇気を出して、「これ、どうぞ」と渡してくれたのです。

 心理学の認知不協和理論ってのをご存知でしょうか。自分の信念や行動と矛盾する新情報が表れたとき、人には不快な感情が生じます。その不快な状態を認知的不協和といいます。そのとき人は、自分の信念や行動か、新しい事実のどちらかを否定して不快を解消しようとします。つまり、認知的不協和になると、信念や行動か情報か変えやすい方を変えるのです。

 たとえば、私がAさんのことを嫌いだったとします。その嫌いなAさんが私に「温かいココアでもいかが?」と優しくしてくれました。

 はじめは「ほっといてよ」なんてすねてはみても、すね続ける事は難しいものです。というのは、優しくされたという事実と「敵とみなす」という心理状態は脳に不快をもたらすからです。

 その不快な状態を解消するためには、優しくされたという事実は変えられませんから、敵とみなす心理状態を解消するしかなくなるのです。

 私は中山さんのことをはじめから嫌いではありませんでしたが、仮に嫌いだったとしても、親切にしてくれたら好きになるしかありません。もしかしたら愛が芽生えるかもしれません。

 人間関係の原則は、「他人を変えたければ、自分を変えればいい」ということです。こちらが優しくし続けたら相手は抵抗し続けられないのですね。

 中山さんの行為を見て、ふと思い出した「認知不協和理論」でした。