若いうちに

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20160905

   私が大学に進学したのは父の勧めで税理士になるためでした。もっとも当時の私は税理士という職業についての理解はありませんでした。

   それにしても親元を離れての東京での一人暮らしはとても楽しかったですね。税理士どころか、大学の単位も満足に取れないダメ生活を送ってしまいました。

   3年生の終わりになって、初心を忘れていたことを大いに反省し簿記の専門学校に通ってみました。2級の検定には簡単に合格し、続けて1級も目指したものです。

   ところがです、私にとって1級は想像を絶するほどの難しさでした。難しいことは事前に分っていましたが、どうにかなるとタカを括っていた私には手も足も出ませんでした。

   それでどうしたかといいますと、税理士試験を簡単に諦めて就職活動をすることにしたのです。情けないことに、勉強をやめる大義名分を見つけてしまったのです。

   卒業後は、希望した山梨の地方銀行に採用され、両親はとても喜んでくれました。私はその銀行で働けることを誇りに思い、充実した銀行員生活を送りました。

   その私が銀行を転職するきっかけは入社3年目でした。銀行で財務を勉強したとき、なぜか学生時代に諦めた税理士試験を思い出したのです。

   私は3人兄弟でその当時、兄は土地家屋調査士を、弟は司法書士を目指しており、私一人がサラリーマンの道に進んでいたことも影響したかもしれません。

   税理士試験を受験したいという強い思いに駆られ、迷わず通信講座を申し込みました。とはいえ当時の銀行は、帰宅が23時~24時、土曜日も基本は出勤と勉強をするには少し厳しい環境でした。

   3年で税理士試験に合格しましたが、受験勉強は銀行員で1年、浪人で1年、会計事務所職員で1年経験しました。大学生のときに真剣にやっていたらそんな苦労は要らなかったのです。

   しかしこれらは結果論です。大学生の時にはその気になれなかったのです。銀行で働いたことで身につけた知識、職業観、人間関係はその後の人生に大きく作用したので単なる回り道ではありませんでした。私は本当に運が良かったと思います。

   私が若い人に言いたいのは、自分への投資は若いうちがいいということです。年が増すことで頭や身体の基礎能力は落ち、仕事上では責任ある立場になり、結婚することも子供ができることも自分投資にはマイナスに作用します。

   年をとると誰もが「若いころもっと○○しておけばよかった」と言うものです。後悔しないよう、若者よ、いま頑張れ。