占いがきっかけ

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 私がまだ銀行員だった25歳のころ、知人に誘われて甲府市近郊のあるお寺に連れていかれました。私の人生が変わるきっかけとなったお寺です。

 そのお寺には、占いが当たると地元では知る人ぞ知る住職がいました。予約なしに訪ねて行ったので、住職は私に対する基礎情報は全くありません。

 なのに、私を見るなりに

住職:あなたは堅い職業についていますね。
大石:はい、銀行員をしています。
住職:いま仕事は楽しいでしょう。
大石:はい、とても充実しています。
住職:今はいいけれど、あなたが35歳になるころに毎朝銀行に行くのが辛くなる日が来ます。あなたは銀行員に向いていないのです。

 後になって振り返ると、35歳のころはバブル崩壊後で日本中の銀行員が大変な苦労をした時期と重なります。

大石:では、私に向いている職業は何ですか?
住職:あなたには一級建築士か税理士しかありません。その道に進むと開けた将来が見えています。

 実はこの時、たまたまですが銀行で学んだ財務を深めようと通信講座で税理士の勉強を始めていたのです。ただし銀行を辞めるつもりはありませんでした。 

大石:では、私は勉強したら税理士試験に合格できますか
住職:それは占いでは分かりません。あなたの努力次第です。

 住職は私に銀行を辞めるように勧めたわけではありません。しかし私は住職に「やればできる」と太鼓判を押された気になって勉強に俄然身が入り、1年後には銀行を辞めることになります。

 人間の脳というのは不思議なものです。本気で「できる」と思ったことに対しては、それを実現すべく当たり前に動き出すようにできています。

 困難を目の前にしても、それが好結果を出すために必要なステップと分かっていれば、不安や焦り、迷いのような否定的な感情は起こりません。むしろウェルカムにすら思えてきます。

 良い結果を出せるか出せないかは、その人の実力ではなく頭の中で本気で思えるかどうかではないでしょうか。

 結果として、税理士試験5科目は一度の取りこぼしもなくストレート合格できました。少し自慢になりますが、一科目の失敗もなく合格した人には出会ったことがありません(全国的にはいます)。すべては思い込みです。

 錯覚や勘違いは大切です。勘違い野郎は最強ですから、いい意味の勘違い野郎でいたいものです。