天、共に在り

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秋吉

 2ヵ月ほど前にタリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧して以降、しばらくの間テレビでは現地の混迷について報道をしていましたが、そんな時にたまたまネットで目にしたのが故中村哲医師のインタビュー記事でした。30年以上にも渡ってアフガニスタンで市民のために活動をしてきた故人の言葉は重く、今更ながら「天、共に在り」という本を読みました。中村哲さんの著書を読まれた方やドキュメンタリーなどを見られて私などより詳しい方も多いかと思いますので、書かれていた内容や人物紹介は控えたいと思います。

 本を読んでまず感じたことは、ぶれない生き方の強さや説得力です。設備や資材の不足している過酷な条件での医療活動や、命の水を確保し農業で国を自立させるための用水路の建設など、その功績自体もすごいことなのですが、それにも増して「医療過疎地域の人々を救う」という使命感を行動に移し、全うした人生そのものに心を動かされます。

 その一方で、大多数の農民や一般市民が大旱魃や飢餓などで数多く命を落とすような環境にも拘わらず、政治の混乱、内紛、欧米諸国からの空爆が追い打ちを掛ける状況は、世界の矛盾や問題が現れているのだと心が痛みます。

 また、当時日本のメディアで報道されていた内容が実際の現地の様子といかにかけ離れていたか、いかに偏っていたか、いかに恣意的であったかを知るにつけ情報の危うさを感じずにはいられません。これは今メディアから垂れ流されている情報にもそのまま言えることですが。

 著書の中にいくつも心に残る言葉があったのですが、その一つをご紹介します。

この広大な縁(えにし)の世界で、誰であっても、無意味な生命や人生は、決してありません。私たちに分からないだけです。現地30年の体験を通して言えることは、私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人のまごころは信頼に足るということです。

 

 クリスチャンであった中村哲さんの根底には「神から与えられた使命に忠実に生きることで、神が私たちと共におられるということをほんとうに知ることができる」つまり「天、共に在り」という哲学があったそうです。

 宗教観の話は別として、もしも「自分のやるべき役割」に気が付くことができそれに邁進することができたなら、そんな人の背中を押してくれるのが天の力なのかもしれません。中村哲さんのような高尚な人生とは程遠い生き方ですが、せめて今やっていることが誰かの役に立っていると信じて自分の小さな役割を全うしたいと思うばかりです。

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