脳の特徴

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 100年に一度と言われる不況に直面して「景気が悪い、悪い」と嘆いてばかりいる社長が結構います。無理もありませんが、それを社員はどんな気持ちで聞いているのかと心配になります。しかし本当に心配になってしまうことは、その言葉による自分自身への悪い影響なのです。

 近年の脳の研究では、人間の脳は実際に経験したこととイメージしたこととの区別がつかないと言われています。つまり成功しているイメージを持ち続けることは、成功体験を積み重ねることと同じことになるのです。反対にマイナスのイメージを持つことは、良くない体験を積み重ねることと同じですから避けなくてはなりません。ですからマイナスイメージをしている自分に気付いたら、直ぐにそれを打ち消すのです。

 また、脳は否定形を区別できないとも言われております。例えば「赤いポストをイメージしないでください」と言われたら、あなたはなにをイメージされるでしょうか。「赤いポストをイメージするな」と言われれば言われるほど、逆に赤いポストをイメージしてしまうのではないでしょうか。自転車に乗っているオバサマが、行ってはいけないと思いながらも、車道の方に引き寄せられてしまう現象も同じものです。このように人間の脳はあまり利口ではありませんから、目標設定する場合には否定形を使ってはいけません。「叱らない」ではなくて「褒める」のです。「無駄遣いしない」ではなくて「お金を有効に使う」がいいのです。

 さらに、脳はできた空白を埋めようとします。どういうことかと言いますと、分からない疑問(空白)が脳の中にできますと、脳は無意識のなかでもその疑問を解決すべく働いてしまうのです。つまり、やり方がわからなくても目標設定をしてしまった方がいいのです。人類が月に行けたのは、方法論がわかっていたからではなくて、まずはじめに月に行くことを決めたからなのです。

 最後に、脳は一人称、二人称の区別ができません。つまり脳は他人と自分とを区別しませんから、人に対して掛けた言葉は自分自身への声掛けでもあるのです。ですからいい言葉を掛けたほうがいいのに決まっています。「ざまあ見ろ」「死んでしまえ」などと、心の中で思ってしまってはいけません。それは自分自身に返ってきます。

 わたしはゴルフでニギっているライバルのパターの時には、顔で笑いながら外れることを祈ります。タイガーウッズは同伴競技者のパターの時に「入れろ」と念ずるそうですから、やはり一流は違います。