判断は右脳だ

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 「賢い者はバカでも売れる商品を扱う」と言った人がいましたが、確かに放っておいても売れてしまう商品があったらとても助かります。しかし、そんな商品など持っていないのが普通の中小企業です。

 商品そのものの良さは、売れる条件のひとつとして確かに必要です。しかし、それだけでは簡単に売れません。モノの良さだけで売れるのでしたら営業マンは誰でもいいことになります。

 では、その営業マンが取扱商品について豊富な知識を持っていたとしたらどうでしょうか。例えば、トヨタのセールスマンが自社の自動車についてスペック、他社との相対比較、値段など、誰にも負けないくらいの知識を持っていたとしたら、誰にも負けないくらいに売れてしまうのでしょうか。

 あまり関係なさそうですね。知識があって売れるのでしたら、カタログを必死に覚えてライバル車との比較表を記憶しておけばいいのです。しかし、そんなことだけではお客様の心は動かされません。

 メラビアンの法則によりますと、コミュニケーションにおいて相手の判断に影響を与える要素のうち、言語情報による影響はわずかに7%と言われます。会話の中身そのものはあまり重要ではなく、ほかの要素の方がより影響が大きいのだそうです。

 話の内容以上に相手への影響が大きいのは、顔の表情や視線、ジェスチャーなどの目から入る情報なのだそうです。この視覚情報による影響力は55%だといいます。それに次いで重要な要素としては、声のトーンやテンポなどの聴覚情報で、これが38%ということです。

 つまり、人へ影響を与えるものは、話している内容そのものではないのです。五感のうちの視覚と聴覚の影響が大きいのです。わたしたちは、ものごとを左脳で論理的に判断しているようでいて、実際はどうやら右脳という感覚的な部分で決定していることが少なくないということですから、案外合理的な生き物ではないことが分かります。

 コミュニケーションにおいては、何を言うのかではなくて、どのように言うのかがより大切です。お客さまからのクレームの多くは、言ったことが間違っていたのではなくて、言い方が間違っていたために起きてしまうのです。