初めて見るもの

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 現在の大石会計事務所は社員20数名体制で業務に当たらせていただいております。時々「大きい事務所ですね」と言われますが、規模的には100~200人の事務所があるなかでは中堅というところではないでしょうか。

 思えば、平成元年に家内と二人で創業し、スタッフを募集したときには、なかなか面接にさえ来てもらえませんでした。夫婦で営む職場で働いてくれる奇特な人は少なく、面接に来てくれるだけで本当にありがたい思いがしたものです。私が求職者の立場でも、そんな事務所には面接に行く気になれないかもしれません。

 私が税理士を目指して勉強していたころは、なんとなく2~3人でやっているのが会計事務所のイメージでした。
ひよこは初めて見たものを親と思うといいます。初めて経験した事務所が社員2~3人でしたら、そのイメージが潜在意識に刻まれて、今の大石会計はなかったのではないかと思うことがあります。

 その意味で、私はツイていました。最初に経験した会計事務所が20名近い事務所だったのです。その初めての事務所は上野の石川会計事務所といいました。

 もう30年近く前、会計事務所の就職活動をしたときのことです。大学生がやるように、多くの事務所を真面目に訪問し面接を受けたものでした。断られた事務所もありましたが、いくつかの事務所から内定をいただけました。

 内定をいただいた事務所の中に、品川にあった石川会計事務所という社員2~3人の事務所がありました。私はその品川の事務所がとても気に入ったので、お世話になろうと電話をしました。

 ところが、電話の途中で気が付いたのですが、実はいただいた内定をお断りしようと思っていた上野の石川会計事務所に間違って電話をしていたのです。たまたま二つの同じ名前の事務所から内定をいただいていたのです。まあいいかと、そのまま流れに任せ、お断りするつもりだった上野の石川会計事務所に就職しました。

しかし、結果これがラッキーでした。事務所の規模だけでなく、面接ではお会いしていなかった所長先生は、少し変わっているけれど前向きで親分肌のいい先生でした。私の職業観は少なからず影響を受けました。この事務所での経験が今の大石会計のベースになっておりますので、ひよこの私にとって本当に運のいい出会いでした。

いいものを見る、いい人たちに会う、いい会社に関わる……出来るだけいいものに触れることで「いい思い込み」ができ、これが自分の人生にいい影響を及ぼします。その意味では、10冊の本を読むより、先駆者や経験者から直接はなしを聞く方がいいのです。

 それにしても、最初に勤めた事務所が100人規模でしたら、いまごろ大石会計は100人の事務所になっていたかもしれません。残念…!!