君子と小人

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 ドラマを見る習慣のない私ですが、今月始まったNHKの大河ドラマ『青天を衝け』は楽しみにしています。

「資本主義の父」と称される渋沢栄一を主人公に幕末から明治までを描いたドラマです。

 渋沢栄一と聞けば、私にとっては『論語と算盤』です。2024年には1万円札の肖像が渋沢栄一に代わりますから、いよいよ論語の時代がやってくる気がします。

 大石会計では論語教室をはじめてから、今月で丁度10年が経ちます。論語を教えてくださるのは、子供から大人まで広く日本中に論語を広げておられる安岡定子先生です。私は一生徒として学ばせていただいております。

 論語は2500年前に中国で生まれ、1500年前に日本に伝わり、その教えは日本人の精神世界に大きな影響を与えてきました。こんなに長く読み続けられているという事実こそが、論語が日本人に合っている証です。

 論語の中には「君子」と「小人」という言葉がよく登場します。君子は立派な人、小人は普通の人という意味です。論語で目指す人物像はもちろん君子です。

 私は10年以上学んでも自分自身を小人だなと思うことばかりです。それに気付くためにも論語に触れることが大切です。人の上に立つ人、組織で活躍する人には、人間的温もりと愛が溢れる論語を学んでいただきたいものです。

 以下は論語の中で、君子と小人を比べている章句の一部です。

●君子は義に喩(さと)り 小人は利に喩る(里仁第四)
利よりも義を重んじるのが君子
義よりも利を重んじるのが小人

●君子は人の美を成し人の悪を成さず 小人はこれに反す(顔淵第十二)
人の美点を伸ばし、欠点を抑えようとするのが君子
その反対が小人

●君子は周して比せず 小人は比して周せず(為政第二)
公平に接し偏らないのが君子
偏って交わり公平ではないのが小人

●君子は上達し 小人は下達す(憲問第十四)
天理に従って向上するのが君子
人欲に従って下落するのが小人

●君子は和して同ぜず 小人は同じて和せず(子路第十三)
仲良く調和するが自分に確たる意見があるのが君子
他人に表面上は同調するが仲良くしないのが小人

●君子はこれを己に求む 小人はこれを人に求む(衛霊公第十五)
過ちがあれば原因を自分に求めるのが君子
他人に求めるのが小人

●君子は泰(ゆたか)にして驕(おごら)らず 小人は驕りて泰ならず(子路第十三)
泰然としていて偉そうにしないのが君子
偉そうにして落ち着きのないのが小人

●君子は坦(たいら)かに蕩蕩(とうとう)たり 小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)たり(述而第七)
平安でのびのびしているのが君子
くよくよして落着きがないのが小人

ああ、いつも反省ばかりです。