変わっている事務所

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 みなさまの業界には同業者団体的なものはありますか。あるとしたら、そこに集まる人たちは、あなたにとってどのような存在でしょうか。

 わたしが所属する同業者団体は税理士会です。税理士会は強制加入団体ですから、そこに所属しないことには税理士業務を営むことはできません。どこの団体も同じだと思いますが、同業の人たちが集まっても、似たような考えを持った、しかも少し古い考えの人たちの集団ですから、発展的、革新的な話題になることは少ないものです。少なくとも経営やビジネスの参考になることはほとんどありません。

 業界の発展や地位向上のためならいいのですが、人事や役員選挙で毎回のように揉めるのにも閉口してしまいます。人間、ある年齢になると地位を求めたくなる人が増えてくるようです。わたしはそんな揉め事で限りのある時間やパワーを使いたくはありません。同業者団体には数年間滅私奉公させていただいたため、いまでは悪いなと思いながら少し距離をおかせていただいています。

 したがって、わたしは顧問先の社長が本業そっちのけで同業者団体の活動に夢中になっていたら注意をしたくなります。ビジネスがかなり上手くいって、さらなる自己実現を目指して業界活動をするのでしたらともかく、本業が上手くいってもないのに業界団体の上位ポジションを目指すなんて止めて欲しいのです。

 税理士という立場からは、社長には会社をより発展させるための活動に精力を注いでもらいたいのです。同業者団体で上位の職位を得たところで、会社の経営基盤が強まるわけではありません。それどころか会社を犠牲にして業界活動に夢中になっている人も少なくありません。それでは社員がかわいそうです。

 反対に、異業種の人たちが集まる交流会では、同業者団体にはない新鮮な発想や、やる気満々の型外れの人たちと出会えることで、とても刺激を受けます。同業者団体では序列や上下関係が決まっていることも多いのですが、異業種交流会では、自慢話や相手を見下すような発言はご法度です。

 モチベーションの維持と経営革新のためには、同業の人たちとの係わりを少し減らすこともいいのではないでしょうか。異業種にこそたくさんの学ぶべきものがあるのです。