株式会社のはじまり

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 株式会社は株主が資本を拠出し、株主から委任を受けた経営者が事業を運営し、そこで生まれた利益を株主に配当するという企業形態です。ところでみなさまは株式会社の歴史をご存知でしょうか。

 世界で最初の株式会社は1602年設立のオランダ東インド会社です。むかし歴史の授業で聞いた気がしますね。この時代のヨーロッパは「大航海時代」の真っただ中でした。日本では徳川家康が征夷大将軍になり江戸幕府が開かれる前年のことです。

 15〜17世紀前半のヨーロッパは、新大陸や新航路が次々に発見され、七つの海をまたいだ貿易が盛んに行われた時代でした。冒険家たちは商人にお金を出してもらいこぞって航海に繰り出し、胡椒などの香辛料をヨーロッパに持ち帰って巨利を得ていたのです。

 当初はひとつの航海が終わったらそこで事業を解散し、配当と清算が行われていました。航海から得た収入の中から、雇われた船員へ給料、冒険家への報酬などの経費を支払い、残った全てが出資者のものなのです。この仕組みの構成員は出資者、冒険家、船員です。現代の株式会社に当てはめると、お金を出す出資者は株主、航海に出る冒険家は取締役、船員が社員です。

 しかし当時の貿易は、荒波で船が難破したり海賊に襲われたりと誰でもが成功するわけではなくリスクの高いものだったのです。そしてそのリスクは一人の商人が簡単に負えるものではありませんでした。

 そしてその対策として考えられたのが、多くの小金持ちから資金を出してもらい、航海が成功して莫大な利益を生んだら出資者へ利益配分するという仕組みでした。これは現代の株式会社に近い考え方です。

 この仕組みを備えた世界初の株式会社がオランダ東インド会社です。基本的な部分では現代の株式会社制度とあまり変わりありません。ちなみに日本で最初の株式会社は坂本龍馬が1865年に長崎で結成した亀山社中です。

 会社を所有する株主と、株主から経営を委託された経営者により事業は運営されます。いわゆる所有と経営が分離され、資本家の責任範囲は自分の出資額に限られます。

 したがって、会社が多額の負債を負ったまま倒産した場合でも、株主は自分の出資額だけを諦めれば済み、それ以上の責任が生じることはありません。

 そして経営者もまた、重大な過失がない限り債権者に対しての責任を負うことはありません。それは買掛債務や銀行借り入れだけでなく税金を何億円も滞納している会社が解散したとしても同じです。社長も他の取締役も会社の納税に対して連帯して納付する義務はありません。だからときに、多額の税金を滞納している会社を潰してしまう経営者もいるのです。

 ただし、借金にせよ滞納税金にせよ保証人欄にハンコを押した人は、債権者から逃れられなくなりますから要注意です。相手の求めに応じて簡単にハンコを押してはいけません。そこが会社で事業を経営するメリットでもあるのですから。