第二の震災

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 スーパーの棚は空っぽ、ガソリンスタンドは長蛇の列……東日本大震災では、あらためて集団心理の怖さを感じてしまいました。日ごろからこれだけの購買意欲があったら、景気なんてすぐに良くなると思うのですが。

 一方、不急を要さず生活関連でもない業種については、キャンセルが相次ぎ思わぬ打撃を受けています。計画停電、社員が出社できない、原材料が届かない等の影響で間接的な震災がかなり拡がっています。厳しい景気の中でどうにか頑張ってきたものの、いきなり見通しが立たない状況に陥った中小企業が目立ってきました。

 我が家の息子も友達とスキーを計画していましたが、母親の強い反対を受け渋々キャンセルしました。プロ野球の開幕も流動的ですし、多くのイベントは中止を決定しています。被災地の方を思えば心苦しい気持ちも分かりますが、世の中がみんなで自粛していたのでは景気に良くありません。テレビの前で固まっていても何もはじまらないのです。

 不謹慎かもしれませんが、食事や旅行、ゴルフもキャンセルせずに出来るだけ予定通りに実行してもらいたいものです。売り上げが激減したクライアントを見ると、自粛ではなくて行動が必要なのだと強く思ってしまいます。

 社会生活において血液に例えられるのがお金です。経済も人間と同じで、血液の循環が止まってしまっては生きていかれません。こんな時だからこそ感謝をこめて一所懸命商売をし、また消費者としても世間に惑わされることなく冷静な行動をとりたいものです。

 集団心理や冷静な行動と言いますと、海外のメディアは、被災地につきものの略奪が日本ではどうして起きないのかが議論になっていると伝えています。日本には誇るべき「恥の文化」があります。他人からの批判や世間の目を意識する文化です。火事場泥棒という言葉があるくらいですから全くないわけではありませんが、普通の日本人にとって略奪など思いもよらないことでしょう。

 終戦後の焼け野原からも、阪神大震災からも力強く立派に復興したのが日本です。こども手当も高速道路無料化も全部やめて、震災の救援と復興に全部回して欲しいものです。全国民が心をひとつにして、また再建するしかありません。