人材育成

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 人材育成を会社の都合で考えていたら、それが相手に伝わった瞬間「なんだ、会社の都合じゃないか」と思われてしまいます。

 そうではなく、人材育成の目的を、社会人として、人間として成長させることで、その結果、企業の生産性が上がるようになる、と考えることが必要です。企業の生産性を上げるために人材育成をするのではありません。

 人材育成は人間関係の根本的原則から考えると、とても簡単に解決できる問題です。しかし、その原則から外れてしまうと、人材育成は難解な問題となり、どれほど労力や時間をかけても解決できなくなってしまうのです。

 その原則とは、「他人を変えたければ、自分を変えればよい」ということです。つまり人材育成のポイントは、相手がどうのこうのではなくて、すべては自分がどのような考え方で、どのように行動するかなのです。

 部下が育たない全ての原因は、育てようとする側にあるのです。人が影響を受けるのは、テクニックではなくて他人の生き方です。つまり、尊敬する人の前ではやる気になり、そうでない人の前ではやる気をなくします。

 私も、かつては社員をさんざん怒鳴ったりやっつけたりしました。「どうして分からないんだ」「仕事だから当たり前だろ」と、思えば思うほどイライラしてきます。でも結果はそれで一つも好転しませんでした。

 結局たどり着いた答えは、すべては自分次第ということです。こちらが変われば相手も変わる。俺が社長だから気遣え……そうじゃないですよね。気遣われるより気遣う、支援されるより支援する、愛されるより愛する、与えられるより与える。与え続けることがいいのです。立場が上であればあるほど、格が上がりますし、何よりカッコいいですよね。

 偉そうに言っていますが、いちばん難しいのは自分自身の心です。嫌な自分、狡い時分、腹黒い自分、意地悪な自分、ちょっとエッチな自分・・・私は言っているほど立派な自分ではありません。経営者なんて煩悩が大きい人たちです。結局は自分との戦いですね。

参:『メンタリングマネジメント』ダイヤモンド社(福島正伸著)